覆水盆に返らず?
覆水盆に返らず・・・
そんなことわざがあります。ご存じのとおり、一度失敗してしまったことは取り返しがつかない、という意味ですね。コミュニケーションにおいて、ついうっかり失言したり、あらぬ誤解を受けたり、といったことはよくあります。
ここで、リスク管理という考えを取り入れてみましょう。
リスク管理は大きく分けて次の二つに分かれます。
(1)まずい状況にしないための行動(リスクマネジメントと表現することもあります)
⇒「覆水盆に返らず」であれば、水がこぼれない工夫をしておく
(2)まずい状況になった時の行動(クライシスマネジメントと表現することもあります)
⇒「覆水盆に返らず」であれば、こぼれてしまった後の対応を工夫する
どちらがより重要か、ということはありません。どちらも重要です。
ですが、リスク管理の考え方になじみのない方は、(1)の「まずい状況にしないための行動」がおろそかになりがちです。ついつい「失敗したらどうしよう」ということばかり考えてしまい、失敗しないための行動・準備がおろそかになるのです。
まずい状況にしないためには
まずは、「まずい状況にしない」ことを考えます。
コミュニケーションにおいては、「ゆっくり話す」ということがとても効果的です。ゆっくり話すことによって全体を見廻す余裕が出てくるので、余計なひと言や誤解を生みがちな表現を避けながら話すことができます。また、ゆっくり話すと相手にやわらかい印象を与えるので、うっかりとした発言があっても、きつく受け止められることが減ります。
もう一つは、今伝えようとしていることについての背景や経緯、こちらの思いなどを補足してあげることです。これによって誤解されることが少なくなります。
まずい状況になったら
もし「まずい状況になった」としたら、どうすればよいでしょうか?
覆水盆に返らずのお水とは違って、もとに戻せることを覚えておきましょう。
すぐその場で誤解を解くことができるのであれば、すぐその場で誤解を解きます。「何が言いたかったかというと・・・」などでフォローします。
もし自分の発言からしばらくたってから「あ、あの発言は誤解されたかもしれない」と思ったのであれば、時間がたってからでも構いません。誤解を解いておきましょう。今はメールもありますし、何か用事がある時に「先日は・・・」と切り出してもかまいません。
この誤解を後から解くというのは、まずい状況から脱するためにも大切ですが、これを繰り返すことによって「まずい状況にしない」という力が付いてきます。誤解を解く努力をあきらめずに行いましょう。